洋書のこんな活用法
でも、それはこの季節の性格上、ライバルの同業者と同じことなので、誰も気にとめていない。
朝食をたっぷり食べないから、昼はどうしても腹が減る。
私などは十一時頃から、腹の虫が鳴いている。
「今日は何かうまいものを食いたいものだ」と毎日のように思う。
ただ、それは思うだけで、日本のように食べ物にバラエティーがあるわけでない。
値段も決して安くないから、結局、メニューは限定されることになる。
このあたり、大食いの私にはとても物足りない。
私の場合、街の店で買って来る昼食は、大体、パックされたサンドイッチが主流であり、これにスープか紅茶を飲む。
あるいは、たまにパスタやスパゲティを買う。
最近は街のスーパーマーケットの冷蔵ケースに握り寿司が並んでいる。
冷えて固くなった寿司に日本人の食指は動かないが、イギリス人には意外と人気がある。
一度の昼飯に使う金額は四ポンド(七百六十円)か五ポンド(九百五十円)というところか。
マクドナルドのハンバーガーは五十九ペンス(約百十二円)、一番安いセットメニューが二ポンド九十九ペンス(約五百六十八円)。
日本のマクドナルドでは、それぞれ八十円と四百十円だから、イギリスの方が四割くらい高い計算になる。
それでも、イギリスの基準からすれば、二ポンド九十九ペンスは圧倒的に安く、昼飯時のマクドナルドには長蛇の列が出来る。
ひとつ特筆すべきは、シティに日本式の弁当を売っている店が数店あり、どこもなかなか繁盛していることだ。
店によって値段はまちまちで、私が試食した限り、その値段の差は品質の差になってあらわれている。
幕の内弁当から寿司の詰め合わせ、日によっては、カレーライスや鰻重、親子井を弁当にしたものも売られる。
安いもので三ポンド(五百七十円)、高いもので六ポンド五十ペンス(千二百三十五円)。
高い店の方が売れ行きがよい。
常連は、日本企業の駐在員たちである。
ふところに余裕のある彼らは、多少高くてもうまい弁当の方を好むようである。
ある弁当屋は値段が安いものの、米の品種のせいなのか飯がまずく、私など二度と買う気がしないがイギリス人には大変な人気で、店の前にいつも列が出来ている。
「なぜあんな弁当を食べたがるのだろう」と、私はその列のかたわらを、首をひねりながら通り過ぎる。
国によって味覚の違いは確かにあるので、うまいかまずいかは、きわめて主観的な判断になるが、スーパーの寿司にしても、この弁当にしても、日本人から見て「ひどい味」であっても、イギリス人には受けている事実を、私は複雑な気持ちで見つめている。
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